お客様の声

六浦の家 ~横浜市金沢区

私たちへの相談開始時点では、ご夫婦の間でも必ずしも同じ考えではないようでしたが、「家族みんなが楽しく暮らせる住まいをつくりたいという思いは共通していた。」と振り返るのは横浜市金沢区の古橋様。

 

1.住まいづくりのきっかけ

ご結婚当初の賃貸アパートの住まいに始まり、マンション購入までしたのに、なぜ今回の計画を?

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「マンションは自分の持ち物であるけれど、好きなところを好きなようにいじれない。逆に、住みつづけるほどに修繕のスパンが短くなり、自分の意思ではないところで予期しないお金が必要になったり求められたりする。
それに何より自分も含め家族が画一的な区画の中で育っていくのに、窮屈と退屈を感じるようになった。」
など、マンション暮らしの経験談を伺えました。

とは云いながらも、「個人で住まいを持つという事は、自分で責任を持って維持していかなければならない。」
とご主人。 なるほど、おっしゃるとおりですね。

 

2.当社問合せのきっかけ

住まいを建てようとなって、資料請求をされた建築会社さんは、実は3社。
そういえば、今初めて伺いました。
まぁ、他社様の様子を伺ったところで当社の大切にしている考え方・こだわりは変えられませんし、そこに共感して頂く事に頑張ったのもホントの話です。

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そんな中で、私たち木匠工務店へ、問合せをされたのはなぜでしょう。

実は、私たちがリフォーム工事をした ハワイアンキルトのアトリエ(キルツレイ)に奥様が生徒さんとしてたまたま通うようになり、その仕上がった雰囲気や、木の使い方・携わった大工さんとの楽しかった話題を聞いていて
「できあがった物の魅力だけでなく、手づくり感もあり、物づくりの過程も大切にしている工務店のようだ。ホームページを見てもそんなことが想像される。」

と家づくりを一から携わりたい奥様の考えとマッチしたところから、細―い糸がつながったのですね。

そして、私たちの事務所で、お会いすることになりました。
最初にお会いした時のご主人はまだ、気持ちがあまり乗り気ではなかったですねー。

 

3.私たちの考え方の伝え方と伝わり方

また、古橋様にとっては、私たちの作ったコラム集が思いのほか良かったとか。
大工の足元の話、曲尺の話、古ぼけないものの話、遊びごころの話、ふろしきの話、時間がゆっくり流れる話・・・・・。

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なにげない大工さんたちの小話を綴ったコラム集で、 私たちの会社の雰囲気や考え方を自然に感じ取って頂けたことで、お互いに違和感無くお付き合いをつづけられたのかも知れません。

考え方が同じ方向を向いているって大切ですね。
きれいなカラー写真や気の利いたカタログとは違った方法で、木匠工務店の考え方を伝えることができました。

 

4.実際に会ってみて

面談で感じ取られた印象は、「仕事に対する姿勢が業者目線でなく、住む人目線だった。」
「ひとつひとつの素人質問に真剣に提案を交えて応えてくれた。」との事。

また、「工務店さんからすれば、大きな家をつくる方がうれしい話なのかもしれないけれど、いたずらに家を大きくするとか、家族の人数(子供の数)分の部屋数を勧められる事はなかった。」と奥様。

私たちからは、小さくつくり、大きく住まう事を提案し、お互いに共有することが出来ました。「ストレス無く会話が弾む事って同じ目線だからできる事ですね。」とご主人からお話を頂きました。

百聞は一見に如かず、既に住まわれている方の家にご案内しました。
「木匠さんの良さである、その土地を充分に活かし、その家族の色にそまった住まいづくりを感じられた。」そんな感想を持たれたようです。

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いつからかご主人も積極的になり、気がつくと家の細かな事は、私(奥様)の自由にさせてくれるって言っていたのにぃ―・・・! と感じる程、口を出されるご主人がいたとか。
「いろいろと希望や好みを言えた。とりあえず、聞くだけ聞いてみよう。」
「おかしい事や無理な事は、ちゃんと助言してくれる。」
こんな関係を築ける事が、気持ちの良い住まいづくりを成功させるもとになりました。

また、社長の笑顔や対応が素敵だったとおっしゃって頂きましたが、社長も普通の人の笑顔と同じですよ・・・。 でも、有難うございます。

 

5.土地を新たに購入して

土地購入に際しては、古い家がある敷地よりも更地になっている敷地を探されていたようです。

しかし、結果的に購入されたのは、建物の評価は価格に入っていないような古家つきの土地でした。

古橋様は最初見た時はピンとこないようでした。しかし私たちからの、お隣や道路と敷地の関係とか予算の事も含め、実際に住む上での良し悪しに置き換えた説明を聞き、ゴーサインが出せたようです。

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古家はとり壊さざるを得なかったけれど、前のオーナー様とお話されていたことがありました。

実は初めに古橋様がこの土地に来られた時、黄色の花を咲かせた蝋梅のやさしい香りが印象に残っていたとのこと、
「敷地の中にある蝋梅を残す事はできないか?」と前のオーナー様からの話もあり、設計の菊池も、「私も賛成です。生かせるものは活かしましょう。」ということになりました。

他にも素敵な話がありました。

住まいが完成してから、お散歩中のご近隣のおじさんからは、「おー、ここの柿はさー 30年位前から立派な実が生るんだよねー。」
お近くの奥様からは、「建物を壊された時に植木はどうされるのか心配だったんです。 残されて安心しました。」と云われたのも、結果的にここの土地にこの家を建てられた事が喜ばれたひとつの証でもありますね。

こんな計画に、私たちも一緒に携われたことをうれしく思います。

 

6.設計打ち合わせの中で

「素材選びの的確なアドバイスがあった。」

「床材を選ぶにあたり、樹種によって年輪の詰まり方・木の重さ・堅さのちがいの話が聞けました。」とご主人。
私たちからは、一般的には冷たい感じがする広葉樹ですが、太陽熱を利用した輻射暖房で足元が暖かくなるので広葉樹をお勧めできました。選んだら材料から何が得られるのかという話や肌に触れる床材の塗装の話などを聞くことができました。

最終的に、1階の床材は傷のつきにくい広葉樹のチェリーを、2階の子供部屋には足ざわりが良く、温かみのある国産材の杉板を選んで頂きました。合板の床材と比べると夏の汗ばんだペタペタといった感じは無くなります。

しかし、年月や四季を通して変わることなく均一な仕上がり感を求めるなら、ムク材はお勧めできません。本物の良さを理解した上で使い込んでいただきたいですね。

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プランのうえでの打合せで、菊池は、玄関の位置について、駐車場とのつながりを優先するか否かを悩みましたが、感じとっていた家族の雰囲気を考え、今の位置である裏手にしました。
「玄関ってその家の顔だから・・・っていうけれど、玄関でくつろぐわけではないし。ご近隣の方々もお庭を通ってくつろぎの居間へ顔をだしてもらっても構いません。」との事。
「あー、玄関もあったのかーって・・・」 そんな街の人との会話があったと聞きました。
まぁ、玄関が無いわけにはいきませんからね・・・。
実は、住まいの広さの事で私たちの見えないところで、ご夫婦の間でひと悶着あったとの事。

敷地とのバランスを考えたり、予算の事を考えたり、あちらこちらに対しての(私たちも含まれています?)気苦労があったようです。
でも、話していただいたおかげで、設計の中で解決ができて幸いでした。工事着工前で良かったです。

また、具体的な提案の中では、周りの環境を取り入れた風の通り道に関することがありました。

2階にご家族がおやすみになる和室があります。出入口の一ヶ所では室内の空気が入れ替わりません。
しかし、階段室に面した壁に地窓(床面にちかい室内窓)を作りました。
「小さい窓なので、本当に効果があるかと半信半疑でしたが、住み始めてみると、その地窓を通って、和室に涼しい風が入ってきます。おかげで、あまりエアコンに頼らずとも快適に過ごせました。」
と奥様からの感想です。

 

7.社員で行う施工が始まって

社員大工で施工。がひとつのキーワードになっており、木匠工務店の良さが発揮される所でもあります。
今回は、木越(きごし)棟梁が現場を仕切りました。

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「現場に行くと、工事の進捗の事から、図面では表現しきれない仕上がった手触り感の事まで、快く話しをしてくれた。木匠の大工さんは、技術だけでは無いのだな。」

そう感じとって頂けたのは、社長としても喜ばしいことですね。
自分のプライドにかけて、お客様のことを第一に考えて施工する姿勢を理解していただいたようです。社員大工の良さを感じ取っていただきうれしく思いました。

 

8.実際に住み始めて

一般にコンクリートで出来たマンションは熱が逃げにくいので冬は暖かく過ごせるけれど、夏もとても暑くなる。

木でできた住まいはコンクリートの住まいに比べて寒いのではと思われがちですが、断熱や窓サッシなどの条件を揃えてあげると、木の家も冬でも暖かく過ごすことができます。
また、マンションなどのコンクリートで囲まれた住まいは湿度を調節する機能が低いので、夏のじめっとした時には、「壁も床も肌に触れるとペタペタしていたので、部屋の中でも比較的靴下を履いている事もよくありました。」とご主人。

木でできた住まいに実際に暮らしてみると、今年の猛暑でさえ、朝起きてきて爽やかだなーと口ずさむことがあったそうです。木の調湿作用と相まって窓から入る風のおかげもあったようです。平面図でみる風の道でなく、断面図でみえる風の道。
今では実際に体で感じて頂いています。
設計の段階からの、風の入り口と、風の道と、風の出口 この3点を考えた 計画的なしかけなのです。

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古橋様のお住まいでは、屋根に降り注ぐ太陽の熱を効率よく建物に取り込むことと、建物全体にいきわたらせる為の設計手法をとりました。

マンションからお引越されましたが、特にお友達を冬にお呼びしている というのは、冬暖かいという実感があるからでしょう。

木の住まいならではの香りに関することでは、「自分達は、慣れてしまって感じなくなりましたけど、10ヶ月経った今でも木の香りっていまだにしているのですね。 お友達が来ると羨ましがられます。」と奥様。

「すみやすい!」なんて、小学生のお嬢様にもホンネ(!)を言っていただきました。

また、奥様の「落ちつくわ」とおっしゃっているのは、家族みんなが感じる きもちいい から生み出される結果 からなのでしょうね。

 

9.私たちにご指摘いただいたこと

「木工事が終わり仕上げ工事の頃になるとあわただしさが感じられた。それまで棟梁から工事の進捗を伺っていただけに、いろいろな職種の人たちが、かわるがわるおとずれるようになり、完成までの道筋が見えにくく、さびしい感じがした。」

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工程の説明が足りなくて不安にさせてしまい申し訳なく思いました。
このご指摘も、一緒に家を作っていこうと思うからこそ感じられたと事なのでしょう。
家づくりの過程はなかなかわかりにくいもの。ご不安を抱かせないように工事の進み具合のアナウンスを怠らないように致します。
次への課題として社員で共有し活かしていきます。

 

10.最後に

古橋様とは、初めてお会いしてから15ヶ月後の完成でした。
行き届かない点もあったと思いますが、ご依頼を頂き、ひとつの住まいづくりのお手伝いができた事うれしく思います。
これからお付き合いは永くなります。
住みながら住まいはつくられる。そんな気持ちでのお付き合いをお願いします。

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どうぞ、今後も私たちの行うイベント(こだくみまつり 年末のお餅つき会 見学会など)にもご参加下さい。

これからも、仲むつまじいご夫婦の姿を見ながら、お2人のお嬢様は伸び伸びと成長されていく事でしょう。いつの日か、お嬢様たちから「私の大切な実家なのよ・・・。」なんて話があったら、是非教えてくださいね。

 

(2011年秋 佐藤 正志 安間 稔)