スタッフブログ

設計・家づくりのはなし

家を建てる目的は何ですか

連日、日中は暑い日が続いておりますが、朝晩になると、吹く風が何処となく秋の気配を感じるようになって来ました。着実に夏から秋へと季節が巡っているようです。

 

 

さて、先日『家づくりセミナー』の第2弾として、資金計画や諸費用について、ファイナンシャルプランナーの倉田春彦さんに来ていただき、約2時間の勉強会を行いました。

 

 

新しく土地を買われる人、既にお住まいの家を建替える人など、家を建てる人の環境は様々です。
小さかったこどもが大きくなり、部屋が手狭になったから。建物が古くなり、あちこち修繕しなければならなくなった。小さくても良いから自分の家が欲しい。 庭で家庭菜園を楽しみたいなど、その家族にはその家族の事情があります。しかし新しい住まいを求める究極の目的は、家族みんなが幸せに暮らすことではない でしょうか。

 

 

近頃は住まいを商品として、また装置や仕掛けなどのようにアイテムや数値で評価することが多くなっています。太陽光発電で何キロワット発電したとか、す ごいシステムキッチンが備わっているとか、大きな地震が来てもびくともしないとか、こんなに部屋の数があるとかなどです。
本来、語られなければならない、住まいづくりの夢が性能や機能を優先することにとって代わられているように思えてなりません。

 

 

何処でどんな住まいを建てることになっても、そこに住む家族が満ち足りて、安らげる住まいをつくりたいと思います。
それは小さくても広がりのある開放的な住まいだったり、生活しやすい住まいだったり、家の周りにある風景を切り取った住まいだったり、風通しがよく、陽の 光が充分に降り注ぐ住まいだったり、季節の移り変わりを感じられるちょっとした庭がある住まいだったり、何処にいても家族の気配が感じられる住まいだった りするのではないでしょうか。

 

 

そして、同時にそんな住まいを手に入れるための資金計画もやはり重要です。
住宅ローンなどで借りれる額と無理なく返せる額は同じではないと認識してください。借りたお金を注いだ水に例えると、コップに並々の水を入れて、恐る恐る 運ぶよりは、8分目くらいにしておいて、着実にゴールまで運びたいものです。せっかく手に入れた夢のマイホームが資金計画に無理があって手放さなくてはな らなくなったり、生活が窮々としてしまっては幸せに暮らすことにはなりません。 私たちも家という器をつくっていますが、家そのものをつくることを目的とせずに、そこに暮らすご家族が満ち足りて、安らぎを感じられる住まいをつくって行 きたいと思います。家はできた時が完成ではありません。暮らしながら、少しずつそこに住む家族の家になってゆくのです。後から出来ることを後でしても良い のです。長く愛着が持てて、住むほどに好きになる住まいをつくって行きたいと思います。

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追伸 : 夏が終る頃になると、小さい頃、土曜日の夜8時からやっていた『ドリフターズの8時だよ!全員集合』を思い出します。週に一度のとても楽しみにしている番組でした。
次の日は日曜日で、家族で出掛けたり、友達と遊ぶ約束をしたり、楽しい休みの前日なのに、なぜか番組のエンディングになると少し悲しくなりました。威勢のいい歌が終わり、「また来週!!」と言われると日曜日を前にしてなんとなく淋しい気になりました。
海の青、蝉の鳴き声、プールサイドの歓声、入道雲、花火、ひまわりの大輪、日焼けした肌、今年の夏も終ります。

 

 

(佐藤 正志)