建物レポート
イベント報告 | 逗子の家・建方見学会
~活気あふれる木匠大工が行う、棟上げ工事を見学してみよう~
お陰さまで心配していた昨日の雨はあがり、今日は、逗子の家の棟上げ工事の日。
一本の通し柱が、真っ直ぐに青空へ立ち上がりました。
この柱を上から撮った右の写真を見ると、我が棟梁大ちゃんの字で、”いの一”と書き込んであります。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、これは、柱の位置 を表しています。
その建物の、横方向に対しては、いろはにほへと・・・、縦方向に対しては、壱弐参四・・・と、
一定の間隔で碁盤の目のような位置決め がされています。
その柱に差し込まれるこの梁の片側も
“いの一”です。
現場では、”いの一”から組み始めました。
最初が肝心、はじめの一歩 といったところでしょう。
大工たちが ちゃきちゃきっと作業をすすめられるのには、こんな暗号? が記されているからです。
では、建物の中ほどはどうなっているのでしょう・・・。
“ほの五”と書き込まれています。
と言うことは、さっきのところから、
横に4マス目、縦に4マス目のところですね。
長さでいうと、1マスが3尺なので、
12尺=3640mmのところにこの柱は立っています。 そうです、
“いの一”から”ほの五”までで、8帖間になりました。
完成した時に あらわしになるこの柱は、留め付けの金具も隠れて見えなくなりそうですね!
プレカット加工ではなく、さすが「手刻み!」です。
この柱はタテヨコ共に、通常の倍の太さがあります。
と言うことは、4倍の柱の断面積があると言うことですね。
いわゆる、
この大黒柱は、「今日の今から、ここにこの住まいがある限り建っている」ということになりました。
しっかりと家族を見守ってくれることになる“ほの五”でした。
さてこんどは、”ほの七” を見てみましょう。
あまり見慣れない 継ぎ手の技 が仕込まれていました。
この建物は3週間前に行った
『手刻み見学会』での建物ですので、
それだからこその細工が見えました。
車知継ぎ(しゃちつぎ)という技法で、
梁と柱ともう1本の梁の接合を、車知栓という堅木を打ち込むほどに緊結する継手です。
ボルトなどの金物で締め付ける方法もありますが、クサビ(栓)を打ち込む方法は、材木が収縮するに従いさらに緊結されるという特性があるのです。
失ってはいけない日本の技術と、そのこだわりの表現でもあります。
夜にはまた雨が降るという予報もありましたが、最後まで青い空が味方になってくれました。
永く安心して住めるきもちのいい住まいを、
おつくりしていきます。
お施主さまにとりましては、
本当におめでとうございます。
ということで、
『棟上げ工事を見てみませんか』とご案内をしましたが、平日だからでしょうか、皆様お忙しいですね・・・。
また次の棟上げ工事の時も、お声がけさせて頂きます。
・・・この場を借りて 紙面での案内会 とさせて頂きました。 有難うございました。
(安間 稔)