第1話~あたたかい木
朝晩はグッと冷える時があります。今回は「暖かいもの」の話です。例えば、木は熱を発していないのに「木はあたたかい」と聞きます。ではどんな木でも一様に暖かさは同じなのでしょうか?
いやいや、そうではありません。
確かに木はあたたかい素材ですが、例えば住まいの床材としてみると、
広葉樹のチークやオーク材は、重く密度が高いので体温を奪いやすいのですが
、傷が付きにくくその色や質感を好まれる方も多いようです。
反対に、針葉樹の杉などは空気層が多く、
手や足で触れた時に体温を奪わないので、まさに暖かいという表現になるのです。
比喩的に表現をしてみると、
やさしさの裏返しで冷たく突き放すような強いお父さんのようであったり、
やさしくあたたかく答えを返してくれるお母さんのようであったり、
人も木も根は同じなのかもしれませんね。
また分類をしてみると、
外部から暖かさをもらえるものはストーブや鍋料理。
身につけるセーターやマフラーは体温を留めてくれるもの、というものとは別に、
杉の床材は体温を奪わないでその暖かさを返してくれるもの、になるでしょう。
でもこれらのものでも暖めきれない「心を暖めるもの」はあるでしょうか?
・・・これは永遠の課題なのかもしれませんね。
(安間 稔 2013年11月)