木匠工務店のお客様の声

センター南の家 ~横浜市都筑区

21年間に渡り5階建てマンションの最上階に住まわれていた都筑区の山本様は、“地べた”に降りてきました。

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1.住まいづくりのきっかけ

高齢になられたお母様の事や、今後の自分たちの事も考えると、今のマンションにエレベーターはないが、必ず必要となってくる。
これが、住み替え計画の始まりでした。

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休みも少なく多忙なご主人、2人のこども達も大学生になったことを踏まえると、戸建て住宅ではなく、エレベーター付きのマンションでも良かったのでは?

「そうですよー。 例えばセキュリティの面では、窓を開けっ放しにしても、玄関の鍵ひとつ掛ければよい。 建物のメンテナンスに関しては、管理組合に任せていられるので楽な面があるんですよ。 だから、マンション(エレベーター付き)も見に行きましたよ。」と、マンションの便利さと合理的な面の話を伺いました。
でもね、「じゃあ、エレベーター付きのマンションであればそれで良いのか?」というと、家族の中ではそれだけの問題ではないようでした。 仮にマンションでも「“地べた”(1階)のほうが落ち着く 実は、高いところに住みたくない!」という意見があったようです。

更に続き、 「では、あえて“地べた”と云うならば、戸建住宅はどうか。自分たちの根が張った自分たちの為の住まいが、本当は理想なのではないだろうか?」と、家族みんなの気持ちの動きについて、お話し頂きました。
住まい選びは、時として理屈だけでなく、感覚や感情によるところも大きいようです。

 

2.当社問合せのきっかけ

住まいを建てようと決めると、知り合いの建築家さんから私たちの名前を聞き、ホームページをご覧になった。ホームページの情報では、好みに合わない部分もあるが、期待できそうなところが多くあったとか。

ちなみにその建築家さんからはどんなことをお聞きになられましたか?と聞くと、「以前一緒に仕事をしたことがあり、若い人たちが頑張っている工務店なんですよ。」と簡単な情報だけとのこと。
それがかえって、先入観をもたれることなく、ありのままを感じ取っていただける素地を作ったのかも知れません。

 

3.実際に会ってみて

裸足で事務所に上がる事を勧められた山本様。 木の素材を大切にしている以外にも気づいたことがあるそうですね。
窓からは街路樹のシラカシを視線にとり込み、とても自然光を大切にしている事務所のつくり。
その真ん中にドンと、立派な存在感のある無垢の木のテーブル。同じものを見ても人によって感じ取られるものは千差万別。 山本様の心に、私たちのごく自然な気持ちが“自然光とムクの木”を通して伝わったのかもしれません。

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それと、ワンフロアのうなぎの寝床のように、仕切りもなくそのまま奥へと続いている社員用の長い机。「みなさんがごく自然な雰囲気で仕事をしているのが見えた。これが、木匠工務店とお客様の距離を表しているのかも・・・」と感じられたそうです。
お会いしていただいたのは、もしかして“温もりを持った素材と空間”だったのかもしれませんね。

それに負けない仕事をしないといけません。

 

4.大手ハウスメーカーと比べて

自分たちの考える予算の中で、建てなければならないこともあり、誰もが知る大手住宅メーカー2社も検討したそうです。

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それは外側から見ると、とても魅力的で自分の好みに合っていた ようです。

しかし、それらのメーカーから話を聞いていくと、「自分たちの予算の中で住まいは建てられる」 ということはわかった。しかし、「それが自分たちにとって満足のいくものなのか?」というと、そうでもなさそうでした。

「個々の素材の持つ力にこだわりながらつくっていこうとすると、予算もさることながら、ひとつひとつを確認しながら意向を伝えていかなければならない」
また、
「住み心地を上げていくには、どうもいろいろと機械的な設備を入れる話が多い」、
「設計の提案も受けたが、期待を越すものは得られなかった」、
「機能性を重視した大量生産品を組み合わせてつくっていく」等といった印象を受けたとのこと。

そんな経過の中で、「木匠工務店はというと、「裸足」の話や、事務所から受けた雰囲気が、とっても新鮮だった」ようです。
木匠工務店の目指しているものは何か、今後どんな話を聞けるのだろうか、といった期待感を持つことができたそうです。

 

5.設計打ち合わせの中で

「正直いって相談前は、工務店は施工のみをする人たちの集まりであって、設計から相談にのってもらえるとは思っていなかった」
「仮に行うにしても、施主の希望の間取りをただ清書するだけのイメージしか持っていなかった。しかしそれは違っていた」とご主人。

「木匠の設計士さんは、土地の測量図だけを見ているのではない。自分たちで探し、けっして安くはない金額で購入しようとしている土地の周囲も含め、良く見てくれている。」

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一般的に南側の庭を広くとりたいなら、敷地の北側に建物を寄せたくなります。しかし菊池の提案は少し異なるものでした。

北側斜線の厳しいこの地域は、並びの家の北側に空地ができている。加えて土地の北側は、お隣の南側でもあり、そこへも空地は続いている。
ここの空地を上手に取り込むことを菊池は提案しました。

北側にできた空地をウッドデッキとして住まいに取り込む ということです。

interview2_6 結果的に、南側と北側の空地に設けたウッドデッキは、居間と食堂でつながり、土地と建物の全体がひとつになっていたのです。

部屋と段差なくつながりを持ったウッドデッキを通して見える庭は、眼下に見下ろすマンションからの庭(公園)とは、違いがあります。と美術大学に通っている息子さんからのお褒めの言葉は、うれしい限りです。

キッチンにおいては、お手持ちの食器、お鍋や小物類のおよその量と寸法をもとに背面収納を造りつけ家具としました。出し入れのし易さとすっきり納まることを目指しました。

また、台所側からでなく、食堂側から出し入れをした方が便利なものもありますね。
「設計にいろいろと相談したお陰で、みんなが協力しあいながら楽しく食卓を囲んでいる」とのことです。

居間食堂は洋間であるけれど、障子を多用したのは山本様も大賛成。お客様の感性とこだわりどころを考えて “ふた手間かけた引き込み障子” を提案しました。 もちろん一般的な障子よりも費用はかさみます。でもここが大事。

価値の見出せるものにはしっかりと費用を掛けていただきます。
カーテンやブラインドと違って窓周りもすっきりし、柔らかな明かりになるし、なんといっても大好きな日本酒が、よりおいしくなったとか・・・。

 

6.実際に住み始めて

偶然か?計算か?玄関から見て居間の正面に配置されたマドの位置。お隣のかわいいピンクのバラがちょうど見えます。
窓が先か、バラが先か・・・。バラが 咲き ほこっていました。
ウン?!

interview2_7 庭いじりに関しては、ご主人が植木屋さんと間違われるほどの、熱の入りようだったとか。
仕事が忙しく休みの日もままならないご主人は、ある日の夕方暗くなり始めてから、新しく購入した 地下足袋 を履いて 芝の手入れをしていました。すると「ここの建物は、庭の植木も含まれているのかねー。上手にやるねー」と、散歩中のおじいさんから声を掛けられたそうですね。 日が暮れていくのが気になったが、自分でやっているワケを話しているうちに、思いがけずついつい長話になってしまったそうです。
庭を通して、街の人同士の会話が広がりました。

『地べた』の効用かもしれませんね。

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そして、 「夜の明かり(照明)が、これまた良いんですよ」 帰宅のときにわざわざ遠回りをして、1本通りの向こうから、にんまりと、眺める事もあるそうですね。 「食堂のベンチに座っていると、空だけが見えるマドがあって、気持ちいいですよ。夜はまんまるい月が見えて、また楽しいんですよ」とご主人。

「木々を越してくる風が気持ちいいですよ。」とは奥様。
お母様は、「庭まですぐ行けてメダカのいる カメ を覗き込んでみたり、目の前の庭を眺めたり、部屋の広がりも感じられて、とてもうれしいですよ」とご感想を頂きました。

やさしい。たのしい。きもちいい。を目指している木匠工務店としては、少し“にんまり”しそうです。

7.私たちにご指摘いただいたこと

一から十まで手づくりの住まいづくりは実に多くの選択と決断を必要とします。まして、着工前の図面の段階では全てを完全に理解するのはむずかしいかもしれませんね。
ある程度は設計者を信頼して任せることとなる。
「今思うと、図面や寸法を見て、分かったつもりになっていたかもしれません。」とのお話。出来上がって「こうなっていたんだ」と思うこともあったそうです。

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とはいっても、「家族みんな、満足していますよ」という言葉がありました。

お客様は「分かっているだろう」でなく、「分かっていないかもしれない」ということを意識しながら説明していこうと思います。
分かっているようで知らなかったことってありますか?の問いには、
「この現しになっている柱と、それにつながっている梁の色はどうして違うの?」とご主人。
「柱と梁、木といえば同じですが、樹種が違うのです。今は色の違いも明らかですが、だんだんなじんできます。均質でないことがむしろ味と感じられるではないでしょうか」と私たち。
「なるほど、これからが楽しみですね・・・」と話は結ばれました。

木の素材感を大切にされる山本様は、その変化も楽しんでいただけると思います。

 

8.最後に

まさしく地に足がついた今回の“地べた”にこだわった住まい方は、庭の木々を愛でながら季節を感じ、街の人たちとのふれあいも生まれます。今以上に思いやりの心や助け合いの気持ちも、芽生えるのかもしれません。

建築としては、ひとまず完成ですが、住むほどに愛着の増す中で、末長くお付き合いいただければと思います。

(2011年秋 佐藤 正志 安間 稔)