さしがねの知恵

さしがねとは、大工さんの三種の神器ともいえる道具のひとつで、
L字型のシンプルなこの定規が、
実は知恵の塊なのです。

このコラム集は、そんな大工さんのさしがねにちなんで、
昔ながらの知恵や工夫を、今の暮らしに生かそうというコーナーです。

四季を感じることのできる暮らしや、
多少手間はかかるけれど
豊かな暮らしとは何か?というコラムや、
それ以外にもちょっとした住まいのお手入れ方法などもご紹介していきます。

第1話 ~ 温故知新

私たち人間にとってはうっとうしい梅雨と思われがちですが、植物にとってはなくてはならない梅雨の雨ですね。
その成長した植物が私たちにとっての、いわゆる農作物になっているんですもの・・・。
植物や農夫さんを例にとって、昔からの知恵を見直して粋に過ごす法 について書いてみます。
農作物にとって梅雨の雨はとても大切です。畑仕事に行く農夫さんたちのお弁当は、やっぱり抗菌作用の高い酢や生姜・梅干し入りです。そして包みは、くま笹にくるんだり、杉でできた曲げワッパの弁当箱です。
これらは、抗菌だけでなく調湿効果で中味が蒸れずにおいしく食べられるようにもなっています。決してラップやプラスチックが無かったからだけではありません。

 

 

 

そして彼らが、腰に巻いているのはタオルではなく、汗を拭いた後にも乾きやすい手ぬぐいです。手ぬぐいの端がまつっていないのは、これも乾き易くて菌の繁殖を防ぐことにもなっています。
さて、自宅でその奥様は、まな板の消毒をする時に、昨今のような化学的な抗菌剤を不用意に使うことなく、塩をこすり付けた後に熱湯をかけています・・・。

 

日本には日本の環境に合った暮らし方や工夫があります。
新しい事をとり入れながらも、先人の知恵を見直すことって楽しいですね。
暑い夏の過ごし方など住まいに関しての知恵も今後お伝えしていきたいと思います。

(安間 稔