さしがねの知恵

さしがねとは、大工さんの三種の神器ともいえる道具のひとつで、
L字型のシンプルなこの定規が、
実は知恵の塊なのです。

このコラム集は、そんな大工さんのさしがねにちなんで、
昔ながらの知恵や工夫を、今の暮らしに生かそうというコーナーです。

四季を感じることのできる暮らしや、
多少手間はかかるけれど
豊かな暮らしとは何か?というコラムや、
それ以外にもちょっとした住まいのお手入れ方法などもご紹介していきます。

第10話 ~ 「開け閉め」の不具合対処法いろいろ。

玄関の扉がギーッときしんだり、玄関の鍵が差し込んでもうまく回らなくなってきたり、サッシのクレセント錠が固くなったり、引き出しが出にくくなったり・・・etc.

そんなことにいらいらさせられたり、我慢したりしていませんか?

これらは、意外と簡単に解決できるので、少しご紹介したいと思います。

 

潤滑剤としてもっとも有名なのは、「KURE 5-56」だと思います。

5-56の赤いスプレー缶は、皆さんどこかで目にしているでしょう。

 

 

私も昔5-56を初めて知った頃は、上にあげたすべての不具合に5-56を吹いて解決しようとしていました。

実はそれは少し荒っぽかったのです。

まず、「5-56」は、金属用の防錆・潤滑剤です。錆びついて動かなくなってしまったナットなどを緩めたりするのに一番適しています。

潤滑効果に持続性はないので、きしんだ丁番に挿しても効果は期待できません。プラスティックは溶けることがあるので要注意です。

 

きしみを直すのに一番向いているのは、「シリコンスプレー」です。

 

 

金属だけでなく、引出しの滑りが悪くなってしまった場合、昔は蝋を塗るとよいとされていましたが、引出しの底の部分にシリコンを吹くと滑りが改善されるはずです。

ドアクローザーがきしんだ場合にも、蝶つがいの部分にノズルを使ってシュッとひと吹きすれば、まず直ります。

固いクレセントも同様です。

ただしクレセントは、軸がずれたりなどして固くなっている場合もあるので、その場合は、ビスを緩めて位置調整をする必要があります。

 

最後に玄関の鍵が回らなくなってしまった場合です。

この場合は、5-56もシリコンスプレーも使ってはいけません。

鍵穴専用の粉状の潤滑剤があるので、それを使ってください。

 

 

油などを挿すと、ゴミが固着して、鍵の内部が壊れてしまいます。

こちらも昔ながらの方法があります。「鉛筆の粉」を鍵にまぶして、何回か挿したり回したりを繰り返してください。動きがスムーズになると思います。

 

以上、開け閉め関連のメンテナンス方法でした。

3種ともホームセンターで数百円で売っています。

今まであきらめて我慢していた部分に、ぜひ試してみてください。

(関 文子