さしがねの知恵

さしがねとは、大工さんの三種の神器ともいえる道具のひとつで、
L字型のシンプルなこの定規が、
実は知恵の塊なのです。

このコラム集は、そんな大工さんのさしがねにちなんで、
昔ながらの知恵や工夫を、今の暮らしに生かそうというコーナーです。

四季を感じることのできる暮らしや、
多少手間はかかるけれど
豊かな暮らしとは何か?というコラムや、
それ以外にもちょっとした住まいのお手入れ方法などもご紹介していきます。

第18話 ~ 薪ストーブとペレットストーブのはなし

今年の冬は寒いので、会社の薪ストーブは毎日大活躍しています。
だいたい1時間に太めの薪1本が燃え尽きますが、気づいた人が、かわるがわる薪をくべて行きます。

薪ストーブの揺らぐ炎をながめていると、なんとも心が安らぐものです。
中世ヨーロッパでは、暖炉は家の心臓部、まず暖炉の位置を決めるところから、建物の計画がされていたとか。
日本では、まさに囲炉裏がそうですね。

火のまわりはなぜだか居心地がよく、自然と人が集まる。
暖かいからだけじゃなく、火が持っている求心力が何かあるような気がします。

 

 

薬缶をチンチンとかけながら、ゆったりとお気に入りの椅子に腰掛け、おいしいコーヒーを飲む。。
薪ストーブは、私にとって永遠の憧れです。

 

現実的には、薪を大量に置いておく場所が必要、周囲は防熱処理をする。点火の手間、消火のタイミング、掃除、薪の入手、ご近所への排気の問題などなど、、、環境的にも時間的にも、少しハードルが高いかもしれません。

 

 

ペレットストーブは、そういう意味では、比較的手軽に薪ストーブの楽しさを味わうことができます。

電気制御でタイマー運転をすることができたり、本体が熱くならず、建物に防熱対策をする必要がないものもあります。
煙突も必要なく、排気についても、あまり気にする必要がありません。

本体が熱くならないので、薬缶は薪ストーブほど熱くならないけれど、火の揺らぎを眺めながら、くつろぐには十分の楽しさがあると思います。

薪ストーブを諦めていた人もペレットストーブならいけるかもしれませんね!

 

 

燃料のペレットは、間伐材やおがくずなどを固めてつくったもので、灯油と比較すると、ペレット1kgの発熱量が灯油1リットルあたりの約半分。
ただ、化石燃料を使わないという意味では地球にやさしいといえます。
ペレットストーブ独特の、ペレットが火に落ちるコロンコロン・・という音がなんとも言えず、癒されます。

 

 

両者の特徴はおおむねそんな感じですが、薪ストーブとペレットストーブは、姿は似ていても、室内を温める仕組みが全く違います。
薪ストーブは、鋳鉄などでできた本体に蓄熱させることで、輻射熱を利用して部屋を暖めますが、
ペレットストーブは、本体は熱くはならず、ファンヒーターと同じで電気で温風を吹き出させて部屋を暖めます。
暖かさの性質が違ってくるのが想像できるかと思います。

実際の環境やライフスタイルなどにあわせて、選択していただくのがよいかと思います。

(関 文子