さしがねの知恵

さしがねとは、大工さんの三種の神器ともいえる道具のひとつで、
L字型のシンプルなこの定規が、
実は知恵の塊なのです。

このコラム集は、そんな大工さんのさしがねにちなんで、
昔ながらの知恵や工夫を、今の暮らしに生かそうというコーナーです。

四季を感じることのできる暮らしや、
多少手間はかかるけれど
豊かな暮らしとは何か?というコラムや、
それ以外にもちょっとした住まいのお手入れ方法などもご紹介していきます。

第2話 ~ 深い軒とすだれのはなし

今回は「日本の気候に合った住まいの特徴」です。
今年の夏も暑くなりそうですね。
でも、夏の陽射しは真上から降り注ぐので「深い軒」で遮れます。逆に冬の陽射しは太陽の高度が低いため「深い軒」でも取りこみ易いのです。
この他に深い軒は、外壁が汚れにくい、シトシト雨ならば窓を閉めず過ごせるので湿気がこもりにくい、小雨予報の日でも洗濯物を干せる、それと、冬の夜の放射冷却による寒さを防いでいるという効果もあります。
また、柿や大根などを軒下に吊るしているのも思い出しますね。
軒の深さで住み心地や楽しさも変わります。

 

 

それと夏の陽射し除けの話ですが、すだれとカーテンの機能的な大きな違いは、暑さを窓の外で遮るか内側で遮るかです。できれば外で遮りたいですね。
ある時、部屋内にすだれを吊るしているのを見ましたが、遮熱の効果は違ってきそうですね。

 

「深い軒にすだれ」と聞くと、少し古めかしい建物に感じられるかもしれませんが、実は、すだれが似合う建物は機能的で夏冬を通して過ごしやすさがあるのです。
友人知人の中で新しく住まいを考えている方に、「こんな家の見方」、少しお話してあげてくださいね。

(安間 稔