設計・施工へのこだわり

設計するということ

設計するために大切なことは、「住む人」と「場所」をどう読み取るかということです。そのために最初に行なうことは、お客様にお会いしてお話しすることと、敷地を拝見することです。

敷地に関する法的な条件を整理し、「その場所」が持っている特長や可能性を探します。そこに立つとどんな物が見え、どんなところから風が吹き、どんなふうに光が差し込むのかなど、外的条件をしっかりと確認します。いろいろな時間帯に何度か足を運ぶうちに、なんとなく見えてくるものがあります。

そこに住む「施主」とは、いろいろなお話をしたあとに「設計カード」をお渡しします。これは、現在の生活から、これからの新しい住まいに関しての要望などを、具体的に書いていただくものです。書いているうちに矛盾が生じたり、自分が本当は何が欲しいのか、どんな暮らしがしたいのかわからなくなったりします。本当に必要なもの、そう思っているけど実はそうではないもの、などを実際に書き出すことによって、整理整頓していきます。これはとても重要な作業です。

この「設計カード」と敷地から得た情報をもとに「設計」の作業に入っていきます。施主の要望だけではなく、また設計者の思想だけでもなく、施主が自分でも気づかないような答えを提案できるように、いろいろな角度から考えます。朝起きて食事をし、仕事や学校に行って、疲れて家に帰ってくる、ちょっとくつろいでそして床に入る。そこに住まう人のそれぞれの一日をシミュレーションし、どんな人生がそこにあるのか、それぞれのストーリーを考えます。

そしてファーストプランの提案となります。
これですぐ方向が決まることもありますが、双方の希望がかみ合わず時には振り出しに戻ることもあります。打合せを何度も繰り返し、どんどん意見を言い合って、お互いの考えを確認していきます。「その人」と「その場所」でなければ「その家」にはならないのです。

迷ったとき、困ったときによりどころとなるのは「やさしい」「たのしい」「きもちいい」、この三つのテーマです。だれか一人だけそうなるのではなく、住まい手も設計する人もつくる人もみんながそうなれるように、ひとつの答えを探して行きます。

永く住まうために必要なこと

便利であることと快適であることは違うと考えています。ただ便利なものを追求するのではなく、永く快適である住まいを目指しています。5年後、10年後、20年後、家族ひとりひとりの状況も変わり、住まいもまた経年変化をし劣化もします。何もメンテナンスしないで一生過ごすことなど、人も住まいも不可能です。必要な時に必要なメンテナンスができることがとても重要です。

ゆとりのある豊かな住まいをつくるためには少々時間がかかります。ゆとりとは広さのことではありません。「必要にして十分」なスペースがあればよい、家は「必要以上に大きくしない、できるだけ小さく住まう」ことが良いと考えています。

そして小さくても庭をつくることを勧めます。木や草花は季節を感じさせ、また歳月の流れを訓えてくれます。自然や過ぎていく時間とどう係わっていくのか、よい住まいはよい時間の流れを演出してくれます。

施工へのこだわり

私たちはただ職人魂だけで家をつくっているわけではなく、お客さまの住むすまいをつくっています。設計士から大工、連業者の職方さんまで、みな住む人の喜ぶ顔を見るのがうれしいと感じる、同じ価値観を持って仕事をしています。どの職人さんがお客さまを訪ねても、気持ちよく信頼していただけることには自信を持っています。ひとりひとりが仕事に責任を持ち、与えられた仕事をこなすだけでなく、お客さまに満足していただくための一手間二手間を惜しみません。私たちは、誰がつくったのかわからない家ではなく、つくるひとの顔が見える住まいづくりを心がけています。

設計と施工の連携

設計と施工は、どちらか片方だけ優れていてもいい家はできないと私たちは考えます。見た目のよさばかりを追求することは、施工性の悪さ、また材料の無駄等、コストの無駄につながることがあります。反対につくりやすさばかりを重視すると、住む人の使い勝手や、見た目が悪くなったりすることがあります。施工性を理解した上で設計すること、反対に設計を理解して施工性をよくしていくこと、つまり設計と施工が連携して高めていくことが、使い勝手よく、無駄なコストをかけず、シンプルで美しい住まいをつくることにつながると考えます。設計から施工まで、責任を持って自社で一貫して行うことで、それが実現されるのです。