木匠工務店のお客様の声

鶴川の家Ⅲ ~町田市三輪町

1.子どもの人数分の個室の数でなく・・・?

小さな頃から独立心を養わせようとして、充実した個室として子ども部屋をつくる事はしないし、しておかないとのことです。

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この地域は昔から大きな地震が多く、家族は一緒に寝ていたほうが安心といった理由もありますが、結果的に家族がひとところに集まっていることの良さを感じた。

 

兄弟姉妹や家族が、お互いに迷惑を掛けたり掛けられたりする中で、相手を思いやる気持ちなど、大人も子どもも学べることがあるのかもしれませんね。

 

住まいに対する考え方や子育てに応用したいと思ったそうです。
参考に聞きましたところ、このご夫婦も個室のある家で育ったようで、「子どもの人数分の個室は必要だろう」と漠然と考えていたということでした。
大切な我が子であっても、いつかは巣立つし、巣立たせたいと思うのも事実です。

 

・・・そして今回のこのお住まいは、このご夫婦の考え方と木匠工務店の設計士の住まいに対する考え方が合い、「子どもの人数分の部屋はつくらず、目的別の部屋をつくる」ということになりました。
その分、居間や食堂には子供も含めた家族それぞれの心地よい居場所がつくられた。
例えば、家族の気配は感じられるけれど、視線は遮られている通称「図書室」は、人気のようですね。

 

・・・そういえば、日本語には「甘える」という単語がありますが、英語での単語はないそうですね。
家族の中で“しっかりと甘える”ことも、結果的に自然と独立心が育つひとつの方法なのかもしれませんね。
転勤先でのその住まい方を見て、ご夫婦が「これでいいんだな・・・」と、決められたお話でした。

 

2.夏と冬を越してみて  夏の話  冬の話

「夏は涼しく冬は暖かい家」と、言葉をよく聞きますが、この家はどうでしょう。
この家は、高気密高断熱に関する数値設定や測定はしていませんし、特別な機械的空調システムも取り入れていません。
しかし、当初の希望を書き入れる「設計カード」には、奥様は冷え症なので床暖房を、ご主人は暑さに弱いけど冷房は苦手、などなどありましたが・・・。

 

・・夏の話・・
ここは幸いにして周りが竹林や柿畑です。
新しく購入したこの土地は、大手の分譲宅地のように周りの家もたてよこ整列して建ち並んではいない土地です。
それがゆえに、風抜けもよくおまけにその風も涼風。
建物内部の「風の道」がしっかり計画されているので、健康的な夏を過ごせる。
部屋の引き戸も開けっ放しにし易いですしね。

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このところの猛暑日にエアコンを使う時でも、設定温度は28℃とのことでした。
但しひとつ計算違いだったのは、夜はその竹林越しの涼しい風が住まいを抜けてくれるのですが、風と一緒に小さな虫たちは網戸があっても、明かりを求めて家の中に侵入してくると・・・。
こんな時は窓を閉めてエアコンに頼ってしまうとのことでした。

 

でもこのエアコンは、前の住まいでお使いになっていたものでおよそ12畳用のエアコンですね。
ここの空間は25畳分の容積があるのですけれどね・・・。

 

夏は、縦に抜ける風の通り道や湿度のことを意識することで、体感温度を下げるよう考えてあります。
また、住まいの中には、洗面台の足もとなどジメジメと湿気が溜まりがちな所ができてしまうものと思っていたけれど、それもありませんとの感想もありました。

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・・冬の話・・
居間食堂には、即効性に優れ熱量も高いFF式のガスファンヒーターがありますね。
この部屋はのびやかな勾配天井と、天井に付くシーリングファンにより、部屋だけでなく家全体に暖かい空気が行き渡るようになっています。
階段や玄関ホールへの間仕切りもなく、常に空気の対流ができているので、入浴のための脱衣所(引き戸はあります)も冷え込んでいることはないし、夜暖房のスイッチを切ってお休みになっても、朝布団から出るのが寒くて辛いと思うことはない。とのことでした。

 

・・・でもこの“寒くなさ”は、空気を暖めるFFファンヒーターだけでは難しいと思います。冬の昼間の太陽の暖かさを、輻射熱としてより積極的に建物自身に貯め込む、ということを設計段階から考えているからでもあります。

 

ひとそれぞれの慣れの問題もありますが、たまたま太陽の陰った日が3日続いた時にいらしたお客様は、暖房器の近くから離れたくない様子だったそうですね。冬であっても太陽の熱量はどんな暖房器よりも強力です。“窓ごしのポカポカさ”って、眠たくなっちゃうほどきもちいいですよね・・・。

 

住み心地のよさは、周りの環境をいかに読み解き、無理なく対応していくかということも見落としたくないと思います。今回も、ほどよく季節を感じながら過ごせる住まいを、一緒におつくりできました。

 

3.長く使えるもの

家の中にモノが少ないですね。お金を出せば我慢することなく何でもすぐに買える時代ですが、「長く使えるものをよく吟味して購入する」とのことです。
例えば、履きやすい靴は決まってくるとのお話の様に、奥様も若いころ(今でもお若いですね。ごめんなさい!)は、ちょいちょいと買い物好きだったとか・・・。

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今モノを選ぶときは、自分に馴染むものを時間かけてでも探してから手にするようになったようですね。手入れをしながらでも長く使えるものを選ぶ。「もったいない」という言葉を持っている日本人としては、大切なことです。

 

でも、ご主人が考える「使い込んでいる大切なもの」と、奥様の判断する「もう使えないでしょ」というところは、意見がまとまっていないようでした。

 

・・・老後は2人で楽しく過ごせる家にしたいと、当初の設計カードに記入がありましたが、まだまだ老後は、先のまた先の話と思います。末永くこの住まいを使っていただけるとうれしいです。
これからは「老後の仲の良さ」も、住まいの定期点検の項目に入れさせて頂こうかと思います。
今後ともよろしくお願い致します。有難うございました。

 

(2014年夏 佐藤 正志 安間 稔)