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気持ちを新たにしたこと

今年も新しい年が始まりました。
小さい頃は永遠に思えていた一年も年を追うごとに早くなっている気がします。
カレンダーで言えば12月から1月にかけては、いつもと同じ1つの月が替わることと同じなのですが、師走はその年にやり残したことがないようにと、慌しくなります。
新年を迎え、上手くいったことや、逆にやり遂げられなかったことも、気持ちをリセットし、新たに始められるのではないでしょうか。

 

 

昨年末に、大工さんになる為に職業訓練校に通う学生と話す機会がありました。
学校では、主に手道具を使った実習訓練や建築法規などの座学も合わせて勉強されているということでした。
大工は柱や梁の建て込み、下地から床貼りなどの仕上げ工事など、長く現場にたずさわります。
また、各業者さんと関わる部分も多く、他の工事の広い知識が必要になる為、たくさんのことを学ばなければならず、覚えることも多いのです。
学校では、基本的なことを教わるでしょうが、実際は現場で多くのことを学ばねばなりません。若者に会ったことで、振り返って大工を始めた頃のことを思い出しました。

 

 

私が修行した頃は既に、昔の徒弟制度のような厳しい世界ではありませんでしたが、それでも、大きな会社のように、研修があったり、先輩がマンツーマンでついてくれるようなことはなく、その場、その場で言いつけを守り、作業するということでした。
やり方がおかしかったりすると、一方的に怒られ、悔しい思いをしました。
根掘り葉掘り聞いても、自分はどう思うかと聞かれる始末。
ちゃんと考えを持った上で聞かないと、逆にまた怒られたりすることに。

 

 

「見習い」ということばがあります。
字のごとく、先輩、棟梁の仕事を見て、盗んで、自分の中で理解して、覚えるという方法です。
一見遠回りする効率の悪い学習方法かもしれませんが、体で技術を覚えなければならない仕事には、実はいちばん近道かもしれません。
特に注文住宅などの一品ものをつくる行為は、その都度、アイデアや想像力が必要になります。たくさんのやり方を知った者でないとつとまりません。

 

 

修行していた頃、大先輩の棟梁が言ってました。
「大工は一生かかってもずっと修行なのだよ」と、これから大工を目指す若者に会って、気持ちを新たにした新年でした。

 

 

お正月の「新春」という言葉が好きです。
これから寒さの方は益々厳しくなりますが、冬至を過ぎて、どんどん日が長くなります。
生きとし生けるものが躍動する春を待ちつつ、飛躍の年にしたいと思います。

 

 

(佐藤 正志)