イベント報告 | 百合ヶ丘の家・構造見学会

大工をはじめ ひと様は俺のことを「ほの五」って呼んでいる。先週故郷の和歌山から出てきて、家の柱となって第二の人生を始めたんだ。

・・・といった感じで、今回の報告は、ここの地に建つことになった“柱”に報告をしてもらいましょう・・・！

故郷は台風の多いところだけど、こっちに来てから２日後に大きな台風に見舞われた。
俺はちょっと故郷を思い出していたけど、みんなの所も大丈夫だったかな？
こっちでも気は許せないことがわかったし、やっぱり頼られると俺もうれしい。しっかりと建っているから大丈夫だ。故郷でも被害があったと聞いて寂しい思いがするけれど、新天地のここ百合ヶ丘から無事を祈っているぜ。

・・・、できょうは　ひと様が俺たちを見に来る見学会だった。ひと様は「構造見学会」っていうようだ。

 

 

 

その見学会では、
どうやら２年半前に新しい家に住み始めたご主人と、先週の棟上げ工事の時に初めて会ったここの家族、そして今土地を探していてこれから家を建てようと考えている家族が来て見ているようだな。

 

 

 

 

 

ここの工務店の案内役の説明だけでなく、わけへだてなくお互いに話し合えているのはとってもいい感じがした。それと、その２年半前に建てた家の和室をつくったのがここの棟梁だとか・・・。

そうそう、ちょうど俺「ほの五」も写っているだろ。見えるかな？　基礎の上で横になっている土台の上に建って、１階の梁を支えているんだ。

 

 

 

俺の名前の由来は、この家を縦横に一定の間隔で碁盤の目のように区切った時の、右から左へ順に「いろはにほへと・・・」とした “ほ” にあたる所、上から下へ順に番号をつけて五番目の所に建っているから「ほの五」なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

今はちょっと黄色いカバーがあって息苦しい。いずれは、このカバーも大工たちに外してもらい、壁にも隠れずに顔をだすからもう少し待っていてくれ。そうなると俺も息がしやすくなって、家の中をきもちいい空気にしてやるからな・・・。

さっきの案内役に言えば、またここに来られる機会はつくってくれるらしい。俺「ほの五」を探しに来てくれてもいいよな・・・。ここ、いい家作っているみたいだぜ。

そして、「ほの五」さんには、棟上げの様子も話してもらいました。それではお願いします・・・。

 

 

 

ここが俺たちの新しい住処。 俺たちの生まれ育ちは、紀州の和歌山県。
同郷の仲間には、みかんや梅もいるんだ。
知っているだろ？
でも、俺たちをひと様が食べようとはしない。
その代り、俺たちはひと様に安らぎを与え、
そして“その家族”を守るために育ってきたんだ。

 

 

 

 

 

 

み～んな年齢でいうと、５０を過ぎて１００才近くになるヤツもいる。
でも、故郷の気候柄かよく身の詰まったヤツばかりなんだ。

 

 

 

育ててくれたひと様たちは、これからの俺たち木のことを「第２の人生」って言うらしいけど、こんどは、柱って呼ばれるようになった。

それぞれ「強さ」を検査されて刻印されたり、家のどこでどっち向きに建っていればいいのか名札を付けてもらっていた。

そして迎えた昨日が、棟上げの日だった。
自分で動くことはできないから、大工たちが俺たちを運んでくれる。
そして同郷の仲間同士、肩や手を組み合わせてくれる。しっかりと正確にな。

 

 

 

 

 

 

 

最近、俺たちのうわさじゃ、細く切り込まれて両側を接着剤で貼り合わせられる仲間もいるらしいけれど、俺たち木を　そのまんまの姿 で使ってくれるここの大工は安心だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

コワモテの大工や、太ってぇ腕の大工、声が大きく機敏な大工、・・・ちょっと暑さにバテてる若い大工もいたな。そしてここの棟梁は笑う時にはニコニコ顔だけど、キリリとした厳しい眼つきの時は、ちょっと俺たちもブルっちまったな・・・。

でも、俺たちを そのまんま 使ってくれるから、木のやさしさ ってやつも そのまんま だぜ。

 

 

 

縁あって俺たち、一昨日トラックで和歌山からここ東百合ヶ丘に来たんだ。
そして、もう昨日から俺たち「第２の人生」は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

そうそうそれと大事な話、ここで暮らす“その家族”にも会ったよ。この家族と一緒にずーっと過ごすんだな。ずーっと一緒にな。とってもほほえましい、素敵な家族だったよ。よろしくな。

 

 

 

さっそくだけど、
こっちでも明日は台風上陸らしいな。
故郷では、台風なんてのはしょっちゅうだったから、風なんかには粘り強いんだぜ。
みんな、気をつけような・・・。

 

 

 

 

 

 

以上、棟上げ工事と、見学会の様子をお話しさせて頂きました。

（安間 稔）