第15話 ~ こよみのはなし
今月23日は、「秋分の日」ですね。
「春分」と「秋分」の前後は、「お彼岸」で、日本では仏事としてお墓参りをする習慣がありますが、日本人の慣習は、四季と密接に関わっている気がします。
日本人は、昔から花鳥風月を愛でる心を持っています。
別に庭づくりもしてないし、ナチュラリストというわけでもないし・・。
という方でも、知らず知らずのうちに季節に関わる昔ながらの行事をきっとおこなっていますよ。
「春分」と「秋分」は、1年を24節に分けた「24節気」のうちの2つで、ご存知の通り、昼と夜の長さが同じ日のことです。
天文学的に毎年定められるので、何月何日と決まっていません。
太陽が真東から真西に沈むときに、西の方向にある極楽浄土に思いを馳せたのが彼岸のはじまりで、日本特有のものなのだそうです。
「冬至」や「夏至」も24節気のうちの2つです。
太陽の出ている時間が一番短い冬至の日には、体が温まるように柚子湯に入るのが昔からの慣わしです。
それ以外にも、こよみに関わる季節の行事に、馴染み深いものは数多くあります。
「立春」は24節気のひとつですが、旧暦の正月に当たり、「節分」は、「立春」の前の日で旧暦の大晦日に当たります。
1年の最後の日に翌年の無病息災を願う日なのです。
「立春」が旧正月なので、この日から起算して「八十八夜」は種まきの基準日、「二百十日」は稲が台風の被害にあうとされる厄日です。
私たちに一番馴染み深い「桃の節句」「端午の節句」「七夕」は、24節気とはまた別のこよみである「5節句」のうちの3つです。
ちなみに後の2つは、1月7日の「七草」、9月9日の「重陽」は菊の節句と呼ばれています。
どれも季節の植物と密接に関わった行事です。
「仲秋の名月」は陰暦8月15日、つまり十五夜にススキやお団子を飾って、美しいお月さまを眺める行事。
こんな風に、日本では、春分の日、秋分の日を中心に、季節の節目節目で、自然の恵みに感謝していたのですね。
「歳時記」とはそんな日本の年中行事を記した本です。
一冊手元に置きたいと思う今日この頃です。
(関 文子
)