さしがねの知恵

さしがねとは、大工さんの三種の神器ともいえる道具のひとつで、
L字型のシンプルなこの定規が、
実は知恵の塊なのです。

このコラム集は、そんな大工さんのさしがねにちなんで、
昔ながらの知恵や工夫を、今の暮らしに生かそうというコーナーです。

四季を感じることのできる暮らしや、
多少手間はかかるけれど
豊かな暮らしとは何か?というコラムや、
それ以外にもちょっとした住まいのお手入れ方法などもご紹介していきます。

第5話 ~ 風のはなし

今回は、数字的な温度(気温)だけでなく、人が感じる暑さ寒さの感じ方=体感温度のお話です。
これは、気温と共に湿度、風、部屋の色や明るさ、その時の服装や体調にも影響します。
ではこの“風”ですが、扇風機の風だけでなく、部屋の中の温度差による上昇気流を見逃してはなりません。
ということは、単純に窓を開けるのではなく、ひとつの部屋や続き部屋、階段の上と下の窓など、高さの違う所に付いている窓を探してみましょう。
あまり流れが遮られない一番高い窓と、遠くて一番低い窓を開けるのがコツです。
仮にその低い窓を残して全部閉め切ってから、高い窓を開けてみると空気が動くのを感じられるはずです。面白いですよ。
風通しを良くして少し快適さを増すひとつの方法でした。

 

 

また、たくさんの窓を開けるのも良いですが、
双方が近い窓だと家の中の風がショートカットされてしまうので気をつけて下さい。
この様に今の住まいをみると、「間仕切り壁の天井付近に小窓があると新たな風の道ができそうだ」なんて見えてきませんか。
そうそれが昔から言う「欄間」ですね。
各部屋にエアコンを付けると必要なくなっていたモノかもしれませんけどね・・・。

(安間 稔