さしがねの知恵

さしがねとは、大工さんの三種の神器ともいえる道具のひとつで、
L字型のシンプルなこの定規が、
実は知恵の塊なのです。

このコラム集は、そんな大工さんのさしがねにちなんで、
昔ながらの知恵や工夫を、今の暮らしに生かそうというコーナーです。

四季を感じることのできる暮らしや、
多少手間はかかるけれど
豊かな暮らしとは何か?というコラムや、
それ以外にもちょっとした住まいのお手入れ方法などもご紹介していきます。

第7話 ~ 旬の食べ物ってなぜ良いの?

冬は、野菜が甘くなると聞きますね。

いやいや、聞くだけでなくみなさんの舌でも実感!していますよね。

なぜ、甘く感じるのか? それを食べた人に何か効果はあるのか?

知識として知ってみると もっと楽しくおいしく食べられるかもしれませんね・・・。

 

糖は、凍り始めの温度が低いという特性があります。

植物自身が冬の寒さや凍結に耐えるために、でんぷんを糖に変換させ、体内に蓄積させるのです。

この糖分を 甘み として人間の舌が感じるのです。

 

ここで、寒さ対策のために糖分の増した、ほうれん草を例にしてみると、実は、風邪予防に大切なビタミンC・Eやβカロチンも増える一方で、苦味の成分も減るとのこと。

旬のこの時にこそ、子供たちにだっておすすめしたいです。

 

 

最近は、あえて(?)自然な育て方をして、糖分やビタミンが豊富で、色は濃く縮んだようにシワシワな葉の“ちぢみほうれん草とか寒じめほうれん草”といわれる種類もあるようです。

 

ほうれん草を買い物かごに入れるときは、見た目や、値札の数字の大きい小さいに目をはしらせるだけでなく、この自然の摂理に忠実な野菜たちを探してみて下さいね。

 

寒さの中で育つ野菜は、病害虫の心配も減り、農薬の使用も減らせるといううれしい話もあります。

 

ほうれん草自身が、何か文献を読んで学習して、糖度を増すように指令を出したわけではないのに、素材の持つ自然の力って素晴らしい!

 

大量生産により早く安い商品ができるのはありがたいですが、自然の摂理を置き忘れてはいけません。

 

冬の野菜の甘さの話から“自然の姿を大切にするきっかけの話”、ハイッ!整いました。

(安間 稔